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黒雨人は人の悪意を元に活動しています。
人の悪意から生まれ、黒い雨を降らし、人間達の前に姿を現します。彼らのエネルギーは人間の「悪意・恐怖」です。そして、さらに生まれた彼らはより強い悪意を求めて彷徨い、それを持つ人間の意識を奪います。黒雨人は元々、人間が作り出したものなのですーーー。
目が覚めた時、僕は自分の部屋のベッドにいた。
体は汗みずくで、背中はべっとりとしていた。見ていた夢の内容は覚えていないが、後味の悪さが、着ていたTシャツと一緒に体に張り付き、気分としては最悪だった。
時計を見ると、朝の五時を過ぎた所で、だいぶ早くに目が覚めてしまったものだと、部屋のカーテンを開けた。明け染めぬ空は白んでおり、朝陽はまだ息を潜めていた。
上空は薄暗い雲を張って、一雨来そうな雰囲気だった。カレンダーを見ると今日は文化祭。イベントがあるから、雨が降るだろう、と諦めに似た気持ちが湧いた。制服に着替えようとクローゼットに手を伸ばす。
窓に雨が当たる音がして、もう降り始めたのか、と悪態をつく。
僕は部屋に吊るした覚えのない、滲んだピンクの口をしたてるてる坊主を見た。凝視するがやっぱり思い出せない。そっと、触れてみると、ただくるくると回転した。
頭に黒雨バスター、ととんでもなくダサい単語が浮かんだ。
「まさか、な」
ポツポツポツ、と、ガラスを鳴らす雨音と共に、黒い雫が窓を濡らし始めた。黒雨人を倒すまではやまない雨が、再び降り始めていた。
End...?
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