18人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
*
透明の雨が降る道端で、テルは僕に黒雨人について説明をした。
黒い雨が降る日に奴らは現れ、人を襲う。
体に触れられると意識を奪われ、昏睡状態に陥る。
それを防ぐために、選ばれたメンバー(黒雨バスターと呼ばれるらしい。僕はとんでもなくダサいと思った)が黒雨人の討伐に当たる。奴らがどこから来たのか、なぜ人を襲うのか、謎が多く、それを調べる部隊もテルが言うには存在するらしい。今はまだその謎は解明されていなかった。
「僕は選ばれたって事?」
「まぁ、そうだな」
「何で、僕が……」
「雨男だからです」
テルの返事に、僕はさらに絶望した。
ただでさえ、友人のことでショックを受けているのに、まさか、変な化け物と戦わされる羽目になるとは思いもよらなかった。
「これって、夢じゃあ…」
「夢じゃねーよ。俺も雨男だから選ばれた。お前と同じ」
リョウはそう言って、僕の肩を叩いた。
彼の受け止め方と僕の受け止め方には、だいぶ差がある様に感じた。
「それより、テル。ケイがどうとかって言ってたよね?」
「はい、失礼ながら病院に入るところから、ユウさんの後をつけていました」
「てるてる坊主に尾行されているなんて、気づかなかった……。ケイの目を覚ます方法はあるの?」
僕の言葉にテルがくるっと体を回転させ、反応した。
「あります。ケイさんはおそらく黒雨人に襲われたのだと思われます。その襲った奴を倒せば、目を覚ますはずです」
「本当?」
「はい、本当です」
「つっても、肝心の雨傘そのボロ傘じゃあなぁ…」
リョウは僕の傘を見てため息をついた。
「僕だって、好きでこんな傘じゃない。第一、ケイが目を覚ましたら、あんな化け物と戦うつもりもない」
「それは困ります。ユウさんは選ばれた人なんですから…」
テルが言葉を言い終わる前に、また周囲が暗くなり、雨の色が変化した。
最初のコメントを投稿しよう!