二.あたしのよっちゃん

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ねぇ、よっちゃん。あんたのそういう血の気が多いところがあたしは好き。 ねぇ、よっちゃん。あんたがあたしを守るために、あたしに害がある男を 何人も()っちゃう所も大好き。 ねぇ、あんた。ところで、今まで何人 ()ったのさ……? 「おい、さきぽん!早く祭りが終わる前にここからずらかろう。 それにしても、やぶ蚊が多いな、この林は。かゆくて仕方ねえよ……。」 「そうね、行こ行こ!夏はこれからよ!」 ねぇ、よっちゃん。 あんたと出会えてあたしの人生変わったわ。 変な男どもに泣き寝入りしていた人生から、 気にさわるやつは、単純に()っちまえばいい。 そう教えてくれたあたしのよっちゃん。 あたしの最高の共犯者。 あたしの最高のパートナー。 あたしがあんたを選んだ理由? それこそ、よっちゃんは自分の事、殺虫剤って言ってたけど……、 いやいや、あんたこそ、 このあたり1面を飛んでいるやぶ蚊よ。 最後の一滴まで人の生き血を吸いつき殺す 『やぶ蚊』みたいなあんたが大好き。 でも、そんなことは口が裂けても言えない。 ねぇ、よっちゃん。 だからこれからも、さきぽんを『やぶ蚊』どもから守る でいてね。 そんなあんたをあたしは選んだんだから。
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