一.夏祭り

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よし、決めた……。 あの(むすめ)は、年頃的にもおいしそうな血をもっていそうだ。 それでは、いざ、______。 「ねぇ、さゆりちゃん!あっちの屋台に行こうよ!」 おっとっと……、危ない。友人がいたのか。とんだ邪魔が入ったものだ。 やれやれ、別の人間にしよう。 おおっ、あの境内(けいだい)にいる男は! 盛り上がった筋肉にほとばしる汗。 今まさに、祭囃子の太鼓のばちをふりかざそうとしているあの男。 あの境内にいる、今まさに血沸き肉躍る あの男の血を喰らおう。 では、まいらん______。 おっとっと、いかんいかん! この騒々しい太鼓や笛の音が、私の五感を狂わせる。 足元がふらつき、獲物までの距離を正確に 定められない! いかん、いかん。 そもそも、こんなにたくさん人がいる所では、 誰に照準をあてるのか選ぶに選びきれない。 少し場所を変えよう。 よしっ、山手の方に、移動してみるか。
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