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二.あたしのよっちゃん
「ねぇ、よっちゃん。今、叩いたこの蚊から悲鳴聞こえなかった?
うぎゃぁーって人間みたいな……?」
「はぁ?何言ってんだよ、さきぽん。
蚊から泣き叫ぶ声が聞こえたって?お前、どうかしてるよ。
ははぁ~ん、まさか、さきぽんも人を殺めすぎて頭がどうかなってるんしゃねぇか?」
「ば~か。よっちゃんに言われたかないわよ。それよりも、早くこの死体を始末しようよ。
血と汗の匂いを嗅ぎつけて、たくさん蚊がよってきているよ。」
「そうだな。しかし、こいつなぁ、浴衣のさきぽんをずっといやらしい目で見てたんだぜ。」
「へぇ~。さきってそんなに魅力あるんだ!」
「へっ、へっ、でもそんなさきぽんは俺だけのもんだ。」
「いつも、いつもありがとうね、よっちゃん。」
「しかし、男ってのはどいつもこいつもとんでもないやつばかりだな!
だから男が多い所にお前を連れていくのは嫌なんだよ。皆、やぶ蚊みたいに、うようよお前に近寄ってきて。」
「仕方ないよ、それだけさきは、み・り・ょ・く・て・き。
ていうか、そんなよっちゃんもとんでもない男の一人じゃん。」
「違うわい!俺はへんなやぶ蚊どもから
さきぽんが吸われないように守る殺虫剤だ!
これからも、さきぽんにちょっかいかける野郎がいたら、俺ぶっ殺すから!」
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