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どうするのかなあと思って眺めていると、佳奈ちゃんはなんだか渋々って感じで化粧品を手に取った。
「…なによ、言いたい放題言ってくれちゃって…」
いつもの顰めっ面で、化粧水の瓶を眺める。
「…これ使ったら、あなたみたいになれるの?」
まるで、化粧水に話しかけるみたいに佳奈ちゃんは言った。
「そんな魔法みたいな話、あるわけないじゃない」
諦めたように苦笑して、佳奈ちゃんは化粧水を置こうとした。
待って! 美里ちゃんだって、魔法で綺麗になったわけじゃないんだよ!
『…やってみなきゃわからないでしょ?』
思わずそう言って、自分でびっくりした。佳奈ちゃんもびっくりした。声が鏡の向こうに漏れた!? 今まで一度もそんなことなかったのに!
「なに? 今、声、どこから???」
ああ、ごめんなさい。怖がらせるつもりはないんだよぅ!
テンパってしまった僕は、
『ごめんね! でも、君はきっと綺麗になれるはずだよ!』
まるで捨て台詞みたいに叫んで、そのまま逃げ出してしまった。
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