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「でもよぉ。1個のリンゴを3等分って、思っているよりも難しいぜ」
大男が言った。
おや?
なんということだ。
目の前には、リンゴが10個。
まさか本当に、過ちを犯す前に戻ったのか!
僕はニヤリと笑う。
そう。チャンスを乞うた際、僕は名案を思いついていた。
僕は10個のリンゴを次々とミキサーに放り込む。
どんどんジュースにし、同じサイズのジョッキに均等に注いだ。
しめしめ、二人はポカンとしているな。
こんな方法、考えもしなかっただろう!
「どうですか! これで均等だ。みんなで乾杯といきましょう!」
僕は自信を込めて言う。
しかし。
何故か、大男が顔を真っ赤にしている。
「オレはリンゴがほしかったんだぁ! リンゴジュースはいらない! ……よくもやったなぁ!」
すごみのある声に僕は怯む。
「いっいや……これなら均等……」
「もうリンゴじゃねぇだろ、コレ!」
大男が頭を抱える。
「それに、これでは『今飲め』という感じで……」
小男も残念そうにジュースを見つめた。
しまった、なんてことだ。
思いつきを信じすぎた……
僕は、またまた崩れ落ちた。
「チャンスを! もう一度チャンスを!」
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