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目を開けるとリンゴが10個あった。
僕はこの愛おしく、残酷なリンゴを1つ手に持つと、天高らかに掲げた。
「リンゴを埋めよう! やがて実がなり、もっと多くのリンゴが手に入る。3人でこの木を一日交代で大切に育てていこうじゃないか!」
大男と小男は僕を見つめると
「おおお!」
と歓声を上げた。
「なるほど。木を育てれば、均等にする余地が常にできますね……」
「オメェ! やるじゃねぇか……」
僕たち3人はリンゴを植え、輪になって踊り明かした。
「とまあ。このようにして、今までこの木は大切にされてきたのじゃ……今日はここまで。行ってよし」
紙芝居を終え、帰っていく子供たちの背中を見ながら老人は木陰に入った。
「いやぁ、今日もワシの木は元気じゃのぉ。ホッホッホ」
じいさんは1人で笑った。
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