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「頭を上げたまえ。わしも12の女子に頭を下げさせるほど落ちぶれたものでは無いぞ。
……それにしても美しくなったものだな。本当に自分の娘のように思えてくる。」
私はスッと顔を上げ、陛下と目を合わせる。
「お褒めの言葉ありがたく受け取ります。」
妖艶に微笑む。
玉座に座りながら、陛下はニコニコしている。
あぁ、凄く居心地が悪い。
私はラットと目を合わせ、もう一度お辞儀をした。
「お時間取らせていただきありがたく存じ上げます。わたくしはもうすぐ行かなければなりませんので、ここで失礼いたします。」
「あぁ。学園へ着いたらアナスタシウスがエスコートを頼んである。楽しんで来なさい。」
ペコリと頭を下げ、謁見室を後にする。
ふぅ、と一息つくと、馬車のある場所へ向かう。
「どうでしたか? 陛下との謁見。」
ラットが話しかけてくる。
正直今は話したくない気分だが、答えておこう。
「まぁまぁだったわ。絵本に出てくるような国王だったわね。」
皮肉を込めて言う。
陛下がいない場でもこんなことを言えるのは、きっとこの宮の中で私だけだろう。
それぐらいリリアーナ王国の権力は凄まじい。
「リア・デ・アデル・カイリ様。お待ちしておりました。」
学園専用の馬車の御者がドアを開けて待っている。
「学園までは約3時間ほどで到着いたします。何かありましたら私をお呼びください。では出発いたします。」
御者の声とともに、アナスタシウスと私の乗った馬車が、空を飛ぶ。
荷台の空飛ぶ馬車は、どんどん上へ上へと上り、雲の上へ上がった。
その景色は、なんとも言い様のないほど美しいものだった。
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