絶望

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夜になると、同じ学年同士で自己紹介を兼ねた小さなパーティが開かれた。 1年生なのでデビュタント前と言う事もあり、ダンスは無しのパーティだ。 今年の王族寮に住む生徒は私とアナスタシウスを含め、計7人。 一昨年から理事長が変わった事もあり、入学者をバイに増やしたためだろう。 「カイリア王国第17王女のビビアンと申します。S組、薔薇の魔法使いですわ。以後よろしくお願い致します。」 そう言ったのは真っ赤な髪にオレンジと黄色が混ざったような瞳の少女。 髪と同じ色の着物がよく似合っている。 容姿が美しいから17番目の王女でも重宝されてきたのだろう。 服装から見て取れる。 「ラカンスター王国第一王子、マレイだ。属性は猫でA組。よろしくな!」 第一王子らしい話し方。 後ろに控えていた執事らしき人物が頭を抱えている。 「同じくラカンスター王国第二王子のセレイ。マレイとは双子で、俺が弟。属性はトパーズ。S組。よろしくね。」 爽やかな雰囲気の似合う男児である。 カイリとは違い透明度の高い青の髪と瞳が美しい。 近くで王女様たちがはしゃいでる。 「人間界にあるイット王国から参りました、イット・ラ・ライラと申します。あまり魔法についてはよく分かりませんが、ワカメ……?の魔法使い…と言われました。A組です。何ぞとよろしくお願いします。」 ワカメの魔法使いとは珍しい。 丁寧な挨拶をしたのは明るい緑色の髪の女の子。 大人しそうに下の方で三つ編みをしているが、濃い黄色の瞳からはちゃんとした意志があるように感じる。 「リア王国から参りました。リア・デ・アデル・カイリです。S組、ブルーガーネットの魔法使いよ。以後よろしくね。」 爽やかに挨拶を済ませる。 「はいはーい!! ナリル王国から来たナリル・ラ・ティアでーす。よく分かんないけどピンクの魔法使いだよ! A組だけどよろしくね!!」 テンションが高いだけでこれと言った特徴の無い少女だ。 こういう子はあまり関わらないほうがいいだろう。 色の魔法使いのクセに茶色の髪と瞳。 物理的な不思議ちゃんだ。 ナリル王国王族特有のエンパイアスタイルのドレスを着ている。 そして最後にアナスタシウスの自己紹介が終ると、私達は飲んだり食べたり夜11時までパーティをした。 同じクラスのビビアン様とはとても仲良くなったと思ったら、びっくり仰天。 部屋が隣同士だった。 「まぁ! 奇遇ですわね。では良い夢を。」 「カイリ様もまた明日、会いましょう。」 手を振りながらラットを呼び、ドアを開けてもらう。 一方ビビアン様の方は、自分で開けていた。 やはり国王には重宝されていない……? いや、他人に深入りしない方がいい。 向こうはコチラをとして見ているのだから。 その日は疲れたからか、すぐに眠れた。
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