絶望

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時は経ち、デビュタントが近づいてきた。 ビビアン様とは親友と言えるほど仲良くなった。 「カイリ! 今日は午前授業なので午後はどこか遊びに行きませんか?」 「えぇ。とても良いですわね。リリアーナ王国のマジックシティはどうです? ゴルジッチ銀行でしたら魔法界共通ですのでビビーもいいと存じますけれど……。」 あ、ちなみにビビーとは、ビビアンの愛称だ。 「あら! それでしたらわたくし、アッパークラスタウンへ行きとうございますわ! カイリア王国でも有名でして、一度行ってみたかったんですの。」 「ではすぐ北門へ行ってアッパークラスタウンへ行きましょう! デビュタントが近いので 『アルマーニャ』でドレスを新調するのはどうです?」 と言う私の提案で、今はアッパークラスタウンに居る。 アルマーニャは魔法界一のドレス専門店。 王族御用達で貴族なら誰でも一度は行ってみたいと言われる超有名店だ。 勿論、お金を払えば男用の礼服も作っている。 「カイリ様、ビビアン様、お待ちしておりました。」 パリッとしたメイド服を着た……。 「アナスタシウス!?」 銀の髪で分かった。 勿論隣にいるのは、 「セレイ!」 ビビーの頬がポッと赤くなる。 前から薄々感づいていたけど、ビビーはセレイの事が好きらしい。 「カイリにビビアン王女。デビュタントドレスですか?」 珍しく丁寧な喋り方をするアナスタシウスに若干ぎょっとする。 「あら。王子様方とお知り合いなのですね。では一緒に選んでみては?」 受付嬢に言われビビーの為にもと、手伝ってもらう事にした。 「僕はもうほぼ決まってるからカイリの好きなように選ぶといいよ。」 と言って試着用のドレスがあるドレスルームに入ると。 固まった。 庶民の家二つ分ぐらいの大きさの部屋に、ドレスが所狭しと並んでいる。 わかりやすいように色で分けてあって、その中でデザイナー別で分けてある。 「カイリは水色とか深い青が似合いそうだね。」 アナスタシウスは青のドレスがある方を指さして言う。 う〜ん、と悩む。 そして思い出す。 母親への復讐を。 たしか黄色のリボンだったような。 「黄色のドレスが良いわ。」
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