絶望

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しかしあまり似合うドレスがあらず、悩んでいた。 もう寮に帰らないといけない時間だし……。 「今度アルマーニャに所属する1番良いデザイナーをここに呼んでください。日取りが決まったらまた連絡お願いしますね。」 結局見つからず、デザイナーを呼んで特注で作ってもらう事にした。 案内してくれた人もさほど驚く事はなく了解してくれた。 「ではまたのお越しをお待ちしております。」 「ビビーはドレス、決まりましたか?」 「はい! セレイが選んでくださいましたの。」 二人はこの間にすごく仲良くなったようだ。 仲慎ましく歩いてゆく姿を見て、小さい頃の自分と重なる。 もっと、純粋に育ちたかった。 ママはなぜ迎えに来てくれなかったのだろう。 「カイリ、帰ろう。」 アナスタシウスの呼びかけにコクリと頷き、寮へ戻った。 「お帰りなさいませ、カイリ様。」 「お迎えに上がりました、王子。」 ラットとアナスタシウスの執事の声が重なる。 いつか、彼の名前を聞いたことがあったが、忘れてしまった。 「今度アルマーニャから連絡があるはずよ。デザイナーに特注で作ってもらうことにしたの。」 「分かりました。ではカイリ様の日程も再度確認しておきますね。それと……。」 ラットから耳打ちされた内容は、リア王国から私へ文が届いたと言う事だった。 これまでも度々文が届くことがあり、どれも重要な内容のものばかりだった。 例えばリリアーナ王国から70年ぶりに使節団がやってきた、とか最近カイリア王国かららやってくるパウアリスが増えてきたとかそんな感じだ。 今回は何だろう。 みんなに別れを告げ部屋に戻ると、ラットから例の手紙を受け取る。 パット見普通の手紙と変わりはないが、開け口に魔力確認の玉璽が使われている。 普段はシーリングスタンプで、魔力確認も無い。 よほど大事な内容なのだろう。 ラットにレターカッターを持ってこさせ、中を確かめる。 『拝啓 リリアーナ・カイリ王太子妃様 刻々とデビュタントが近づいておりますが、学園ではいかがお過ごしでしょうか。 もうそろそろデビュタントと言う事で、1つ相談があります。 牲をリア王国のものから、リリアーナ王国のものに変えてみてはどうでしょうか。 毎日のようにリリアーナ王国から使節団がやってきて、カイリ様の話をします。 ご検討、よろしくお願いします。』
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