絶望

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「ラット。キレイな便箋を持ってきて。」 ペンを手に取り、机に向かう。 「拝啓 リア王国 国王陛下殿 この度はお手紙ありがとうございます。 こちらはデビュタントを間近に控え、忙しくなり始めました。 今回の件では陛下の意志を尊重し、牲の変更をすることに致します。 ただし、牲の変更はデビュタント当日からと言う条件で、承諾します。 その代わりと言っては何ですが、リリアーナ王国の使節団を国内へ入らせないようにしていただけますか? お返事お願い致します。          リリアーナ・カイリ」 ちょっと上から目線過ぎたかな。 まぁ、陛下も承諾してくれるだろう。 ラットを呼びつけ、リア王国へ送るように指示をする。 「あっと、ちょっと待って!! ……これでよし。お願いね。」 普段の手紙では押すことのないシーリングスタンプを押して、ラットに手渡す。 ここから、私の復讐の始まりよ。 数日後。 「カイリ王女様、長らくお待たせしてしまい申し訳ありません。アルマーニャ専属デザイナーのブルスティ・ルーウィンと申します。ルーとお呼びください。」 「じゃあルー。突然だけど、わたくしに合うドレスをデザインしてちょうだい。」 ニヤリと笑うと、例のリングを出す。 「デビュタントではこれをどこかにつける予定なの。これに合うドレスをお願いね。」 「分かりました、娘娘(にゃんにゃん)。すぐにデザインさせて貰います。ですがその前に採寸をさせて頂きますね。」 娘娘なんて久しぶりだな。 前世で古代中国をモデルにした本を読んだ時以来かも。 全身の採寸が終わり、ルーは目をギラギラさせスケッチブックにデザインを描いていく。 「娘娘は理想の体型をしておりますわ。 ……これでどうでしょう。」 ものの数分のうちに出来上がったデザインは、とても綺麗だった。 やはりアルマーニャ1のデザインナーは流石だ。 真っ赤。 血のように赤いドレス。 まだ子供だからか、胸元はフリルでかさ増ししてある。 クビに引っ掛けて着るドレス。 ローブ・デコルテのように肩が開いていて、フワフワのフリルがとても可愛い。 胸には大きな宝石、ベルギーブルーガーネットがはめ込まれており、その周りにはダイヤモンドが散りばめてある。 さすが魔法界一のドレス専門店。 お金かけるなー。 「こちらのリボンは腰にリボン型に結んでつけていただきます。 するとこんな感じになりますね。」 魔法で立体的に見え、デザインされたドレスが動き出す。 ダンスをするたびにヒラヒラと舞うスカートに、胸元のダイヤモンドに光があたりとても美しい。 ルーの言うとおり、腰につけた白と黄色のグラデーションリボンがさらに美しさを引き立てている。 「黄色のドレスと言っておいたのに赤のドレスとはね。 さすがね、気に入ったわ。」 ドレスと同じ真っ赤な唇が微笑む。 「ではデビュタントまでに仕上げておきますね。」
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