デビュタント

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デビュタント

デビュタント当日になり、ルーがドレスを持ってやってきた。 「娘娘! 完成いたしましたよ!」 とドレスを広げて見せられても見えない。 今私は化粧をされている。 朝4時に起床、それからシャワーにパックにマッサージにエトセトラエトセトラエトセトラ。 デビュタントってこんなに大変だったんだ。 「カイリ。 準備終わった?」 ドア越しにアナスタシウスの声が聞こえる。 「アナスタシウス様、もう少しお待ちくださいねー!」 ラットが叫ぶ。 デビュタント当日と言う事で、隣の部屋…ビビーの部屋からも朝からバタバタしていた。 今年デビューするお姫様は、私を含めて3人。 ビビーとイット王国のライラ王女だ。 ナリル王国のティア王女はまだ年齢が達していない為、来年に持ち越しされた。 化粧が終わった。 ドレスに着替えて、これまたルーのデザインしたティアラをつける。 「さぁ、この世で一番美しいのは娘娘。あなたですよ。」 「カイリ様、私はもう嬉しくって嬉しくって……!」 ラットは泣き出すわルーは舐めるように私を見るわ誰かこの状況を説明してくれ。 と姿見に写った自分を見ると。 「キレー。」 つい口に出てしまったが事実、めちゃくちゃ美しくなっていた。 唇と同じ真っ赤なドレスに、綺麗に編み込まれた髪。 そして大きなティアラ。 私ってこんな美しいんだ……。 なんて純粋な感情は抱かない。 これから、私を捨てたママに復讐が始まる。 そう思うと、色んな意味でゾクゾクした。 『イット王国イット・ラ・ライラ王女様、ラカンスター王国ラカンスター・マレイ王子様。ご入場です。』 ライラ達がお辞儀をして階段を降りていくと、次にビビーたちが呼ばれた。 ここはカイリア王国。 ビビーの為に開かれたデビュタントを、今日、私が占領する。 一応ドレスの色が被らないようにビビーには色を聞いておいたから大丈夫。 「いよいよだね。」 「えぇ。アナスタ……!」 「ナーシャ。僕の愛称。ナーシャって呼んで?」 不意に唇に指を当てられ、びっくりしたがすぐに平静を取り戻す。 「今更何を……。分かったわ。 ナーシャ。」 名前を呼んで微笑んだ途端、私達の名前が呼ばれた。 ナーシャが何か言おうといていたけど、あとで聞けばいいか。 「リリアーナ王国リリアーナ・カイリ王太子妃様、リア王国リア・デ・リドル・アナスタシウス王太子様。ご入場です!!!」 まばゆい光に包まれ、私の復讐が始まった。
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