デビュタント

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1曲目。 今日の主人公、ビビーがひとりで踊る。 白と水色のバッスルスタイルドレスがクルクルと回る。 薄い色のドレスが、ビビーを見事に引き立てていた。 曲が終わり、似たような2曲目が流れ出す。 これは今年デビューする女の子達がパートナーと踊るための音楽。 サビに入るとジャンプしたり回ったり、それぞれ好きな事をする。 プリンセスラインのスカートが舞い踊る。 この中で私が一番美しいだろう。 私は満足気に笑うと、キメポーズを決めた。 3曲目はデビューする女の子達だけで踊る曲だ。 ここからは参加するかどうかは個々で決められる。 私は参加しずに、各国の王女達に話しかけに行く。 カイリア王国の第一王女のアイリス様。 黄色と黒のバッスルスタイルドレスがよく似合っている。 ラカンスター王国のシュネーメンシュ様は相変わらず重そうな冠を頭につけている。 男性陣がシュネーメンシュ様を取り囲んでいるから話しかけるのは難しそう。 すると必死で私を探すママの姿が見えた。 いつもと同じ青のクリノリンドレス。 水色の髪を結わず下ろしているのはなぜだろうか。 まぁ、私には関係ないが。 赤のドレスなんて私しかいないのにあんなにキョロキョロするのは、数名赤のドレスを着た令嬢たちがいるからだ。 他にもわからず屋の出しゃばり婦人など7人ぐらい赤のドレスを着ている人がいる。 そろそろ気づくだろうか。 それぐらいの距離まで来ると、私は後ろを向き、ベランダへ歩いて行く。 気づいたか、ママは私を追ってベランダへ向かってきた。 さぁ、復讐のショータイムよ!! ベランダに入ってきたママは私を見るなり、名前を叫んだ。 「カイリ!」 今にも抱きつきそうなママを杖で制し、話を持ちかける。 「お久しぶりですね、リリ王太子妃様。」 「えぇ、えぇ。本当に生きていて本当に良かったわ。」 目からは涙が流れ出る。 バカめ。 捨てた子がこんなに美しいから感動したか。 1つ息を吐きだして、問いかける。 「王太子妃様はいつコチラへ戻って来られたのですか。」 なぜ今それを問うのかと不思議そうな顔を浮かべながらも答える。 「6年前よ。なぜ今それを「では3年間、何をしておった?」……え?」 ママは急に私の態度が変わった事に、驚きを隠せない。 「私は7年間ずっとママが来てくれるのを待っていた。ママが私を人間界に送り出した時、絶対迎えに行くって言ってたから。私はそれを信じて待っていたのに! あなたはそれを裏切った!! それがどういう事かわかる!?」 若干ヒステリックになりながら全てを吐き出す。 「それは、私は妊娠してたから……。」 「ハッ! バカね。助かったすぐに迎えに行くのが普通でしょう。なのにあなたはのうのうと旦那とSEXして子供を授かって。 あなたは私の事を忘れていた。そうでしょう?」 言葉に詰まりながら頷く。 それを見た私の中で、何かが壊れていく音がした。 「本当にごめんね! だから…」 私を捨てたことを、無かった事にするのか。 どこまで行っても最低な親ね。 「あなたには呆れたわ。あなたに国は任せられない。私も一応婚約しているわ。だから、王位争いをあなたとする。あなたはこれからただの王太子妃。そして私がリリアーナの王になる! 卒業するまで待ってなさい、能無し王太子妃様。」 私は会場の中へ戻ると、人ごみ荷姿を消した。
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