リリアーナ・カイリ

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やっぱり私はあの本の中に入ってしまったらしい。 私は見慣れない天井を見ながら考える。 豪華な服に豪華な部屋と家具。 そして母親であるリリの魔法で隠された第三の目。 左手の甲にあるかさぶたが本当に本の中に入ってしまった事を意味している。 原作では7歳の時に大勢で私を迎えに来た、と書かれている。 だからそれまではこの宮の中で過ごすはず。 だけど何不自由なく暮らせる事は保証済みである。 あとは…… 「おぎゃぁあ!!」 まずはこれから始めないとね。 時の流れは早く、いつの間にか私は5歳になっていた。 「せんしぇ、カイリおなかすいたなぁ。」 3歳で言葉を書いた私は、その日から天才王女様として、スパルタ英才教育が始まった。 そのおかげで魔法界の言葉も、私達がいるリア王国の言葉も読み書きができるようになった。 順調に行けば、再来年には個々を出れるはずだ。 それまでは一人ぼっちも我慢しよう。 原作の通り、私は母親似の透き通るような水色と赤の髪。 そして父親似の美しい金の瞳。 属性は宝石、種類はベルギーブルーガーネット。 ベルギーでしか発掘出来ず、光のあたり加減によって青や赤に色が変わる事からつけられた超高級宝石だ。 鏡を見ながら自分の事を考える。 「あと二年か……。」 鏡に写った自分の顔を撫でる。 美人だなぁ。 前の私の顔を思い出した。 栄養の行き通っていないパサパサの髪や肌に乾いた唇。 それが今は艶のある陶器の肌に髪。 真っ赤な唇。 私は苦笑した。 (私以外にも苦しんでる人はいるのになぜ私が来たのかしら。) 「カイリ様ぁ〜。ごはんができましたよ〜。」 ラットが私を呼ぶ。 「やったぁ〜!!」 私は小走りでラットの元へ行く。 はぁ、5歳の真似も疲れるわね。
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