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「陛下! 女帝王陛下! どこにいらっしゃいますか? 只今戻りました、バイオレットです! 陛下! どこに…」
「そう叫ばずともお前の声はよく聞こえておる。」
そう言ったカイリは黒と白のグラデーションが美しいロングドレスを着ていた。
前まで形式上はリリアーナ王国だった為クリノリンドレスを着ていたが、デビュタントの夜移行、一度も着なくなった。
カイリ様はウエストが細いから似合うと思うのにな〜などとビビーは考えていた。
「で、どうだった?」
「はい、もちろん成功しましたわ! ゼン子爵を雇い人としてパーティへ参加できるようになりました。勿論、カイリ陛下の計画も部分的には教えましたわ。子爵には隠し財産とラシェーラ嬢の件を見逃すこととして、カイリ陛下の城への建設費を頂きました。以外にも沢山隠してありましたわ。」
「そう。じゃあ今度のパーティではリナリアーナ夫妻がいらっしゃるわ。夫妻はカイリア王国の公家であるカサイア・レイン公女と仲がいいの。今度は彼らと取引をするわよ。」
「はい陛下!」
威勢の良い返事と共に仮面を外す。
「やっぱり仮面をつけないと演技は出来ませんわ。」
ぽそりとつぶやいたその言葉には、カイリに対する畏怖の念が込められていた。
パーティ当日。
白いドレスに金色のレース袖のエンパイアドレスを着たバイオレットが馬車から降りてきた。
袖と同じく金色のイヤリングに髪飾り。
赤い髪を下の方で結い、前回と同じくアメジストの仮面をつけての登場だ。
カイリア王国でのパーティなのにエンパイアスタイルとは何事だ!などと子爵は騒いでいたが、別にいいだろう。
今の私は国籍を問わない情報屋なのだから。
派手なメイクに派手なドレスでなんとか年齢を誤魔化せているが、少しでもスキを見せればすぐにバレてしまうだろう。
馬車に乗る前に何度もカイリ様に忠告された。
よし、大丈夫だ。
私はただレイン公女とリナリアーナ婦人と仲良くなって、婦人とお茶会の約束をするだけ。
時間は少ない。
前回のように楽にいけばいいのだが、そうはいかないだろう。
なぜなら、彼女も元は娼婦だったとしても今は第四貴族の一番上なのだから。
ゼン子爵にエスコートをして貰い会場に入った途端、レイン公女から私に話しかけてきた。
ラッキー。
レイン公女はまだ6歳だった。
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