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「貴方、何故エンパイアドレスを着ている?」
ラッキーと思った私が馬鹿だった。
話し方がカイリ様と似ている。
この子を……この方をどう攻略すべきか!!
早く答えねば。
「これはこれはレイン公女様。わたくしリリアーナ王国子爵家ゼ……」
「そなたに話しているのでは無い。口を慎め。」
手の振り方、口調、それに性格まで。
まさにカイリ様そっくりだ。
だが所詮は6歳。
カイリ様なら勝つだろう。
「公女様、はじめまして。わたくしこの世の情報屋、バイオレットと申します。
わたくしの服装ですか? 公女様はどう言うお考えで?」
質問を質問で返す。
その間に答えを考えておく。
話上手な人はコレをするのだとカイリ様はおっしゃっていた。
確かに何度か見かけたことがある。
「ほぅ、頭のキレる情報屋だな。では1つ貴方が情報屋として役立つかテストしよう。
ここはどこだ?」
そうきたか。
何やら今年の不作の状況とかどこぞの名門貴族が没落したとかそう言うのでは無いのか。
もしかしたらもうゼン子爵とのやり取りが噂となっている……?
「ここはカイリア王国、公家が支配する公家領の西側。公家の方が住む領地、と表向きはされていますが、本来は王宮内。ここは『ヒドゥン宮』でしょう。ヒドゥンは英語で『隠れ』の意味を示すのでここは隠れの宮となります。
ではわたくしから公女様へテスト致しましょう。こちらにいる彼はリリアーナ王国で財務省の会長をしておられます。それはなぜでしょうか。」
ニコリと微笑む。
濃い化粧と仮面で素顔は見えないが、普段と違う微笑み方をしなければ見抜かれてしまう。
自分のいとこに。
「さすが情報屋ね!! この事はカイリア王国の王族を含めた一部の人間しか知らないのに! しかも王族でもビビアン王女様達には教えられていないのにさすがだわ!!
ではわたくしもテストを受けましょう。この人はゼン子爵でしょう。勿論彼の実力もあるけど、彼はバーロン伯爵へ妾としてラシェーラ嬢と大量の持参金を送る代わりに会長にさせてもらったんでしょう? 確か、バーロン伯爵も同じ手を使って今の地位を掴んだのでしょう。」
さすがは公女。
まぁ私の名前が出てくるとは思わなかったけど。
私を試しているのかも知れない。
「ええ、そうです。さすが公女様ですね。」
「ねぇ、バイオレット様! わたくしのお話し相手になってよ! わたくしこういうパーティはいつも眠くって仕方がないの。噂によればリナリアーナ婦人と仲がよろしいという噂があるようですけれど、それは違いましてよ。あちらが勝手に媚を売ってくるだけなの。バイオレット。カイリア王国
だけの情報を売るから、彼女を私に近づけないで貰える?」
上目使いに私を見てくる彼女は、文面では分からないだろうが凄く幼く感じる。
いや、幼いのだ。
これは絶好の機会だ。
これでカイリ様にもお褒め頂けるだろう。
「本来ならばわたくしの主人より身分が下の方には雇ってもらわないと引き受けないのですが。
……その情報によるわ。」
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