復讐開始

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と、言うわけで。 「リナリアーナ婦人、はじめまして。わたくしこの世の情報屋、バイオレットと申します。」 3度目ともなると人間(魔女は人間にはいる……と思う。)は慣れてくるらしい。 「あらそう……。所でさん、レイン公女様はどこにいらっしゃるかしら?」 さすが第四貴族ともなると返事も変わってくる。 私よりもレイン公女の方が気になるらしい。 レイン公女とカイリア・ビビアンなら、私の方が身分が上なのに。 彼女と話している間何度もそう思った。 公家と一番下の王族なんてそんなもんだ。 「婦人、女王陛下の侍女を辞任されたんですってね。ご妊娠されたのでしょう? あら、流産でしたっけ? まぁどちらともあれ、女王陛下もお心が広いわね。娘に対してあんな無礼な態度を取った侍女を生かしておいて、更に妊娠したと嘘をついてリナリアーナ家を撲滅させないようにしたんですもの。 ……いったい何を条件にしたのかしら?」 ドレスと同じ金の扇子を口元に当て上目使いで婦人を見上げる。 婦人は慌てたように目を泳がせ、バルコニーへ後からついてくるよう目で指示した。 やはり私と話す内容は厳密にしたいらしい。 これで私とレイン公女はウィンウィンだ。 ちなみにレイン公女から貰った情報は、カイリア王国の国家機密だった。 「『黒ユリ宮殿』を知っているかしら? 元は17番目の王女様の為だけに造られた宮殿だったけれど、今は陛下の隠し子を匿っているらしいわ。一度こっそり行ってみたのですけれど、母親と思われる人と二人で住んでいましたの。最近陛下はよく黒ユリ宮殿へ行くらしいの。……極秘でね。きっと貴方の計画にカイリア王国が必要な時があれば、この話を持ち出すといいわ。ただ、陛下もそこまで頭が悪い訳ではないから気をつけてね。じゃあ、ごきげんよう。」 と言っていた。 そして今に至る。 「リナリアーナ婦人。わたくしはな情報屋。もし、女王様に話した情報を言いたくないのであれば、わたくしの話も聞いてくださる?」 扇子を閉じ、婦人を直視する。 「え、えぇ。」 動揺しながらも返事をする。 そこまで言いたくないほど重要な情報なのか。 後でカイリ様に伝えておかなければ。 「今度お手紙を送ります。その手紙は極秘なので読んだらすぐに捨ててください。その手紙を送った翌日に、リナリアーナ邸宅でお茶を頂きたいわ。わたくしの条件はこれだけよ。いいかしら?」 ニヤリと笑った顔には、成功の文字が見えた。 「カイリ陛下〜。もうそろそろでお城が建設できるようになりましたわ! あら、陛下。いらっしゃらないのですか? 陛下〜!」 「二度目であろう。そなたの声はよく聞こえておる。……そうか、よくやった。後で褒美をやろう。何が良いか考えておけ。」 ニコリと微笑み、口を開く。 「では……。」
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