復讐開始

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リナリアーナ婦人とのお茶会。 私、カイリア……いえ。 ビビアン・カイリアは“バイオレット”と言う名前で、紫色の仮面をつけて別人となる。 母国の礼服であるバッスルスタイルのドレスを着て、紫色の傘をさして登場する。 「あら、婦人。馬車を降りてから庭園をずっと眺めていたのですけれど、とても綺麗な庭園ですわね。」 遠回しに、お前が来るのが遅いという事を伝える時の話し方。 これもカイリ様に教えてもらった事だ。 「えぇ……。では中に入りましょうか。」 意味は分かっただろうか。 分かっているけど分かっていないような感じがする。 いや、上手く流されたか!? 「ところで、その情報とは?」 お茶一口目で急に本題に入る。 「えぇ。女王陛下は元々お心が広い方ですから、最初から流産したことにして辞任するように言われていましたの。今までの私の頑張りと身分を評価しての結果だと仰っておりました。ですけど、穴埋めもあると、同時に仰っておりました。ですから、最初に財産の半分を譲ると言いましたの。でもダメで、ですからダメ元で爵位剥奪を言ったのですけれど、それもダメでした。私の旦那…ユリウスが国王陛下の執事長として働いているのですけれど、とても仕事が早いのでよいと……。国王の執事長は高貴な身分、第四貴族のうちの誰かがいいとおっしゃいましたの。そして、私の三男坊を差し出しましたの。息子を差し出すなんてどうかと存じましたけれど、それ以外ありませんでしたの。」 そこまで喋るとおいおいと泣き出した。 あーあ、泣いちゃった、いい年してるのに。 「それで、息子をカイリア王国の王子として捕虜に出せば、第一王女のアイリス王女が陛下とならずに済むと話したのです。そしたら承諾してくださいました。」 あぁ、それで黒ユリ宮殿に隠し子か。 女の子だと思っていたけれど、まさか王子だったとは。 「息子の年齢は?」 「15歳です。他の子達より成長が遅いのでまだ11,2歳に見えますの。 赤髪に金の瞳をしていますの。」 「名前は?」 「リナリアーナ・ルシウスよ。」 「カぁイぃリぃへぇかぁ!! たっ大変でございます!! これはビックニュースですわぁ! ……あら? 陛下いらっしゃいますよね? この(くだり)、何回もやっていますもの。カイリ様陛下ぁ〜!」 豪華な寮の螺旋階段から神聖インカ帝国カイリ・ド・インカ皇帝陛下が降りてくる。 「よぉく響く声だ。それで、ビックニュースとは? わたくしの部屋へ来い。」 「はい、仰せのままに。」 二人分のハイヒールの音が廊下に響く。 「……それで、ビックニュースとは?」 カイリ様の声はとても心地よい。 それでもって、動作も美しい。 そして私は一連のビックニュースを話した。 「ほう、黒ユリ宮殿に男の子が……。面白くなりそうではないか。よくやった。もう下がって良いぞ」 「はい。では失礼いたします。」
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