リリアーナ・カイリ

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宮へ帰ると、ラットが洗濯物を干していた。 外にラットがいる事に少し焦る。 まさかさっきの事は見られていないよね。 「あ、カイリ様! おかえりなさいませ。 もうお散歩は終わりですか?」 ラットが白いシーツを片手に、こちらへ走り寄ってくる。 今の感じだとアナスタシウスの事は見ていないようだ。 「うん。そう言えば個々はキレイな桜が咲くんだね。」 さりげなぁ〜く聞いてみる。 するとラットは顔を青ざめ、手に持っていたシーツを床に落とした。 そして私の肩を強く持つ。 「桜並木のある所へは金輪際、絶対に行ってはいけませんよ。 わかりましたね?! ……。 まさか人に出くわしたとかじゃありませんよね?」 おう。 痛い所をつかれたな。 私は前世で鍛えたポーカーフェイスでその場を乗り切る。 「ううん? すっごくキレイだから聞いてみただけだよ。」 あぁ、小さな子ってこう言うときに役立つね。 「なら良かったです……。」 ラットはホッと胸を撫で下ろすと、下に落ちたシーツ手に取った。 ラットには魔法探知機能のついたブレスレットを持っている。 私が授業以外で魔法を使った場合、ブレスレットが赤く光り、私の身に危険が及んでいるということになる。 前に一度すごく怒られたので、この前、魔法探知ブロックシールドを張った。 このシールドを張っていれば、私が魔法を使ってもバレないようになっている。 今回もこの魔法は効いたようだ。 私は、と言うかこの体はとても沢山の魔力があるらしい。 そもそも魔力とは、人間で言う持久力に似たようなものだ。 魔法を使えば使うほど魔力は上がる。 まぁゲームのHP的なものだよね。 レベルが上がるほど次のレベルになかなか上がれなくなるあの感じよ。 5歳女子での平均魔力は、大体20あれば良いぐらい。 20は一番簡単な風の魔法を使えるレベル。 魔法界でも人間界と同じように幼稚園から大学まで計16年勉強する機会が設けられる。 特にリリアーナ王国ではお金が無くて幼稚園、小学校へ通っていなくても、魔力保持者のみ中学3年間の義務付けがされている。 ママもその一人。 稀に、と言うか3分の1の確率で魔力を持たずに生まれてくる、『パウアリス』と言う。 英語で『力が無い』と言う意味だ。 勿論、パウアリスでもお金があれば学校に通う事はできる。 だがパウアリスは魔界人から軽蔑され、妓女などひっそりと暮らす人が多い。 たまに人間界へ行き人間と結婚する人もいる。 その二人の間に生まれた子供は『ミクシード』と言い、英語で『混ざった』という意味がある。
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