リリアーナ・カイリ

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七歳2日目。 「1日遅れたけど誕生日おめでとう!! これでカイリも僕と同じ七歳だね!」 アナスタシウスがニコニコと笑いながら手を差し出す。 何やら高そうな黒い箱を持っている。 うぅ、前から思ってたけど、アナスタシウスは貴族なんだよね? こんな高い物を受け取ってもいいのかと思いながらも、手を差し出す。 ええい!! こうなったら、小さい子特有の愛嬌よ、発動!! 「わぁ! ありがとう!! ……え…かっ、可愛いね!! 嬉しい!!」 中に入っていたのは、、、。 私の属性であるブルーガーネットの、ティアラリング。 簡単に言えば、ブルーガーネットの指輪。 こっ、この国ではそういう意味じゃないかもしれないからね!? そんそん、そんなこっ、子供だから、私達!! 誰にこんなに弁解しているのだろう。 今にも引きつりそうな頬で無理矢理笑顔を作る。 「喜んでくれて良かった! でもプレゼントはこれだけじゃ無いよ。」 出たー。 金持ち特有の、プレゼントがいっぱい出てくるやつ。 ってかこの宝石、結構高いよ!? それを1日で? しかも内側に名前がほってあるからオーダーメイドだし。 どんな権力者なんだろう、アナスタシウスって。 「僕と、婚約をしてほしい。」 いつの間にか目の前で跪かれ、手を取られていた私は驚きすぎて体が動かない。 「だから、本当のことを言う。僕は、この国の第一王子、リア・デ・リドル・アナスタシウス。 ……リア王国の国王と、君たちの住む『魔界』の女性との間に出来た、『ミクシード』なんだ。」 だからか。 個々へは魔力のある者しか入れないように結界が張ってある。 なのになぜ通ってこれるのかと今まで不思議だったが、やっとその謎が解けた。 はっ! パウアリスから生まれた魔力持ちのミクシードなんて、魔法学会に報告出来るレベルね。 「私は、これは受け取る事ができない。今年中にママが私を迎えに来るわ。きっと、その時になったらわかるはずよ。 さようなら。」 くるりと背を向け、走り去る。 「まっ、待って!!」 アナスタシウスの声が響いたが、私は振り返らずに宮へ戻った。
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