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ファーストバレンタインチョコレート
わたしのバレンタインに初めて男の子にチョコレートを渡したのは小学校三年生だった。
その男の子はクラスの人気者でスポーツマンで格好良くて女子のあこがれの的だった。
わたしはというと、引っ込み思案でおとなしくて目立たなかった。
そして乱暴な男子が苦手で、いつも仲良くしてくれる女友達とだけいつも一緒にいた。
そしてクラスの一部の男子はそんなわたしにちょっといじわるを時々してきて、わたしはいつもめそめそ泣いていた。
そんなある日、席替えになり、隣はみんなのあこがれの男の子が座ることに。
もちろん私は恥ずかしくて男子が怖くていつもうつむいていた。
ある日、なにがきっかけか忘れたけれどもその男の子が話しかけてくれるようになった。
毎日。毎日。
そうしたら意地悪をしてきた男子たちが急に意地悪をしなくなった。
わたしは最初はびくびくしていつもおっかなびっくり返事をしていたけれども、毎日毎日話しかけてくれたおかげで、その男の子と笑えるようになっていった。
そしてバレンタイン。
わたしは世の中にバレンタインというものがあるのを初めて知った。
その男の子に俺にチョコをくれないかと言われたから。
母にお願いしてチョコレートを買いに行った。
どんなのをえらんだらよいかわからずに迷った。迷って迷って迷った。
どんなのをあげたのか忘れてしまったが、バレンタインに生まれてはじめてその男の子にチョコレートを渡した。
その男の子はありがとうと照れ臭そうに笑って言ってくれた。
そしてはじめてのホワイトデーに、その男の子からかわいいくまさんのキャンディーをもらった。
生まれて初めての出来事ですごくすごくうれしかった。
翌年も同じクラスになって、いろいろ話せるようになって、その年のバレンタインにもチョコレートを渡した。
ホワイトデーにかわいいくまさんのクッキーをくれた。
その次の年はクラスが離れてしまい、それからだんだんと話す機会もなくなってしまったけれども、そのあともたまに会うと元気?とか、風邪気味だったりすると具合が悪いの?大丈夫かと心配してくれるような優しい男の子だった。
はじめてチョコレートを渡した相手がその男の子でよかったと今でも思う。
きっと今でもその男の子は優しい心の持ち主だと思う。
私はその男の子に救われた。
どうか彼がこれまでも今もこれからもずっと幸せでありますように。
ありがとう。
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