アルアメノヒ

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 タイマーに合わせジジジ……とカーテンがあく音がした。  もうそんな時間かと思い、ベランダの方を見つめると外はどんよりとした灰色。  外では静かな雨が降る。  今年は一段と寂しい気がした。  ついに今年もこの時期が来たと思っている。  小さなころは楽しみだった自分が生まれた日。  ―――6月の頭。  こちらもセットしていたタイマーに合わせ、自動的についたテレビからは都内も梅雨入りしたというニュースが流れる。  私はしまうこともしなくなった万年寝床の敷布団から立ち上がり、コーヒーメーカーにフィルターと豆をセットすると、昨日帰りにスーパーで買った値引きされたソーセージの挟まったパンにかじりついた。  誕生日といっても一人で暮らす身にはなんの変わりのない平日だ。  家族と暮らしていたときはお祭り好きな親や姉たちが、ケーキだのプレゼントだのいらないと言っても用意してきたこともあった。  ―――だが、今はそれすら懐かしい。  ある意味うっとおしさがなくなって楽にはなったが、こうしたときふと寂しく思うことがある。  コーヒーメーカーの豆を挽く音が静かに鳴り、良い香りが漂ってきた。  出来たコーヒーを水筒にいれ、残った分はマグカップにそそぐ。  こうやって、コーヒーばかり飲むのは親父に似たなぁと、ふとした時に思う。
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