アルアメノヒ

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 きっかけは私がある意味唯一読める活字の本、『空想科学読本』のシリーズでおもしろおかしく紹介されていたのを見かけたところからだった。  とはいえ、今さらそんな昔の作品を見ることはできないだろうと諦めていたところ、たまたま夜遅くテレビで何回目からの再放送をたまたま目にすることができたのだ。  敵なのに敵と思われていない超能力者。  力合わせて、人々を救う父親と兄弟たち。  ときどき、そんな雑な解決の仕方でも良いのか?と首をかしげるような事件もあったりしたが、昔の作品ながらとても面白いものだった。  せっかく見つけたのだからと私はそのDVDをプレイヤーにセットし1話から見始めた。  明日も仕事だが、なんとなく今日は見たい気分だったのだ。    ある程度見て、時間が来たら途中で止めて寝ればよいだろう。  そう思っていた。  テレビからカウントダウンと同時にマシーンのアップが写る。  5号、4号、3号、2号……  最後に1号が発射する音と同時にタイトルが現れ、雷が鳴った。  お馴染みのオープニングも、流れてくる。  初めてこの作品を見た時のようになんだか気持ちが高ぶり、思わず私は食い入るように見入っていた。  国際救助隊が様々なマシーンに乗り継ぎ、連携して事件を解決していく。  彼らの父親は司令官として、的確に指示を下していく。  そんな彼らが乗るメカを開発している青い眼鏡が特徴の科学者が出てくきたとき、福さんの言葉をふと思い出した。 『ボクは君のようなヒーロー好きな、情熱的な技術者が欲しい。』  ……ああ。  どんなに憧れていただろう。  私はあんなヒーローメカを作りたかったのだ。  学生の時から  ずっと追い続けていたもの  今は忘れかけていたものだ。  私は夢中になって、見続けた。  気が付いたら何度かディスクも入れ替え特典映像まで見始めていた。  
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