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それはこの『株式会社姫凛ヒーロー派遣サービス』で今では共に働くブルーとの出会いだった。
梅雨の知らせと共に訪れる私の誕生日に、あのときどっちが悪かったのか毎回ブルーと言い争いになる。
が、珍しく今日は実家に顔を出すと帰省していない。
「……信じられない。あの後、ブルーとリーダーの乱闘が始まって玄関ホールの窓という窓のガラスが割れて雨水で水浸しになるほどの大騒動になったって聞いたわよ。」
そんな過去の話を聞いていたピンクはあきれた顔をしていた。
「……お兄ちゃん、よくこんなの雇ったよね。」
ピンクはそう言ってチラリと来客用ソファに座りニコニコと笑って話を聞く、福さん……
いや、今はこのヒーロー事務所の社長であり総司令に顔を向けた。
並んで見ると髪の色もふわふわのくせ毛も同じ二人は兄妹だとよく分かる。
「桃、そんな過去の出来事は些細なことさ。結果としてよい方向にむかったわけだし。お前だってここで働いて明るさが戻ってきただろ。」
「……うん。そこは感謝してるけどぉ」
ただ発言は総司令の方が大人びている。
あの頃より更に成長した総司令は、社長としての風格が増したようだ。
そう言われたピンクは少し顔を赤くして、目線をそらしていた。
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