アルアメノヒ

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 私は仕事が終わり、帰宅後あの名刺を眺めて考えていた。  こんな怪しい誘いに乗って大丈夫のかと。  実際、今の仕事に不満は全くないわけではない。  かといって大きな不満があるかと言えばそうでもない。  いざ辞めてこんな怪しい会社に入社してやっていけるのか……。  今日で30にもなって、転職し上手くいかなかったら次に同じような給料で勤められるとは到底思えないわけで……  考えれば考えるほど分からなくなる。  私は考えるのをやめ、ゴロリと布団の上に転がった。  あの姫凛福と名乗った男は、ゆっくり考えればいいと言っていた。  今日明日で答えを出せと言っているわけではないのだから、ここまで悩む必要はないのかもしれないが……だが、彼の言葉がどこかで引っかかっていた。  ―――ヒーローロボの開発  ―――リーダー  私にその素質があるのか分からない。  そもそも会社の上に立てるような人間でもないことぐらい、自分でも分かっている。  なのになぜこんなに考えてしまうのだろうか。  ふと、テレビ台の透明ガラスの向こう側に何かを見つけた。 「ああ!こんなところにしまい込んでいたのか!」  それは私がヒーロー好きになった原点である人形劇のDVDボックスだ。  滑稽に動くマリオネットとあの当時は画期的だっただろう数々の秘密メカが活躍し、人々のピンチを救う国際救助隊の話だ。
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