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「新兵衛、如何した!?」
宗助の問いより早かったか遅かったか
新兵衛は宗助の胸元に顔を埋める様にして
倒れ込んだ。
咄嗟に新兵衛の左後ろの脇腹に廻した
宗助の左手には湿り気のあるものが粘りつく。
(銃創じゃ!…新兵衛はやはり
儂を助けた時に撃たれたんじゃ!)
「止血じゃ…早くしねぇと死んじまうぞ」
左手に粘りついた赤黒い血を黴た床に
擦り付けると宗助は手前の袴をその左手で掴み
刀傷だらけの腕から血が吹き出る程に力んだ。
引き千切り包帯代わりにする腹積もりだったが
新兵衛が右手で宗助の左腕間接辺りを握り締め
宗助の顔を見上げながら首を横に振る。
宗助には新兵衛が言いたい事が分かっていた
弾丸は新兵衛の左脇腹を貫通している。
紺色の小袖の上に着込んだ甲冑の破片がまるで散弾銃の様に新兵衛の体内に飛散しており
最早手の施し様が無い事は明らかである。
宗助の刀傷とは比較出来ぬ程の致命傷であった
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