第2章:雨音

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「なぁ…まだ目は見えるか?新兵衛」 「あぁ…まだ…うっすらとなぁ…」 剣客として鋭い眼光を帯びていた新兵衛の 瞳は次第に焦点が合わなくなっている事に 宗助は気付いていた。 「儂は…ずっと後悔していた… 宗助…おめぇを村から連れ出したのは儂だ… ずっと百姓をしていれば おめぇはこんな危ねぇ目に合わずに 済んだろうに… 村を出たあの日から儂の心ん中は ずっと雨降りだ…晴れた事がねぇ…」 全身汗をかいていた新兵衛の身体が すっかり渇き、身体の温もりが失われ 氷の様に冷たくになるのを感じながら 宗助はただ(うなず)き新兵衛の話に耳を傾けた。
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