最初は

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「ぶふっ…」 その姿を見て思わず笑ってしまった。 「何だよ」 バツの悪そうな中山。 「全然違うんだよ。とりあえず解け」 笑いながら俺も自分のネクタイを外す。 「…どうやって取ればいいんだよ。これ…」 中山は唇を突き出してふてくされた。 ため息をついて俺は外した自分のネクタイをさっと中山のベッドの上に置くと、こんがらがった中山のネクタイを解く。 「ほら、持て」 中山にネクタイを渡して俺も自分のネクタイを持つ。 「これから毎日結ぶのにできないと困るだろ?」 言ってシャツの襟を上げて 「このくらいでかけて…」 ネクタイの締め方を教えようとすると 「初めて会った日…悪かったな」 中山はこっちを見ないでぽつりと言った。
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