心の声

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 目覚めると、すべての音が消えていた。 「……!……!」  お母さんが叫んでいる。目の前で叫んでいる。なのに、声は一切聞こえない。  叫ぶお母さんの頭の後ろに、文字が見える。 『本当に聞こえないの?昨日は何ともなかったのに。夜の間に何かあった?とにかく病院…近所の耳鼻科?もっと大きな病院に連れて行くべき?』  読んだ感じ、お母さんの言葉のようだ。言葉と言うより、考えてることかな。  顔をめぐらしそれらの文字を追っていると、グイッと顔を正面に向かされた。お母さんの真剣な顔が目の前にある。お母さんはゆっくりと口を動かし何かを伝えようとしているけど、私に唇を読む力はない。 「お母さん。何言ってんのか分かんない」  冷静に話すと、お母さんははっとした顔をして、部屋を出て行った。  私はベッドから出て、着替えを始める。 「夢じゃなかったんだ…」  着替えながら、今朝の夢を思い出す。
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