懐から豆乳

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懐から豆乳

暫くブリッジで道を進んでいると突然頭上から声が聞こえました。 立ち上がって上を向くと2メートル程先の木の枝にチェシャ猫が座っていました。 チェシャ猫はハルを見るとにやっと笑いました。 ハルは気立て良さそうじゃん!と思いましたが知らない人(猫?)に気を許しては駄目だと思い、恐る恐る 「ぬこさん?」 と声をかけました。 チェシャ猫がそう呼ばれるのが好きかどうかは全然分かりませんでしたが自分が呼びたいのでそう呼びました。 「ほぉ、初対面でそんな呼び方をするなんて愉快な子じゃ」 チェシャ猫がそう言いながら愉快げに酒を飲んだのでハルも酒が飲みたくなってきました。 「ねぇねぇぬこさん!ハルさんにもお酒頂戴!」 あまりにも酒が飲みたいのでハルはチェシャ猫に無料で酒を貰おうとしました。 ですがチェシャ猫が 「あぁいいぞ。だが私も酒が好きなものでな、酒を渡すならそれなりの対価を払ってもらうぞ。」 と言ったので 渋々(ふところ)から豆乳を4つほど取り出し、渡しました。 「はいどうぞ!ちぇっ!ただ酒飲めると思ったのにー!」 「ははっ。世の中そんなに甘くないぞ。 ところで愉快な子はどこかへ行こうとしてたのではないのか?」 「あ!忘れてた!うさちゃん追いかけてたんだった!」 「もう間に合わんだろ。諦めて他の奴の所へ行ったらどうじゃ?」 「うん…そうだね…この辺には誰が住んでんの?」 「右の方へ行くと帽子屋が住んでいて左の方へ行くと三月うさぎが住んでいる。どちらでも好きな方へ行けばいい。」 「そーなんだ!あんがとね!ぬこさん!」 ハルはチェシャ猫と別れ、三月うさぎが住んでいると言われた方へ進んでいきました。 勿論ブリッジで。
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