宛先間違えのラブレター

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宛先間違えのラブレター

 私、稲見佳苗(いなみかなえ)、高校一年生。  入学早々、後ろの席の美少女の勢力が強すぎて……ぼっち確定の高校生活を送っている。  でも、今日は彼女に話しかけなきゃ…… 「あの、伊波さん」 「なに? 」 「これ、伊波さん宛てだと思うんだけど」   今朝、私の下駄箱に茶封筒があった。中にはメッセージカードが入っていた。私稲見、彼女は伊波と読み仮名が同じ苗字で出席番号が並ぶ。珍しいことだけど送り主もそそっかしい。 『@××▢×〇▢×  里奈さん好きです。  友達からお願いします。』  ——って、書いてある。 「えー、気持ち悪い! 里奈、要らないよ! 捨てといて! 」  流石、美少女。匿名のラブレターにこの反応。 「……そうだよね。ごめんなさい」と、私が送り主の代わりに謝ってしまう。情けなや、ぼっちの加害者意識。  ——それにしても、送り主の分からないラブレター。処理に困る。 「あ、ちょっと待って」里奈さんが発した。 「誰か調べてよ。この校内の誰かでしょ? 」 「ふふっ」と意地悪な笑顔を見せて、理奈さんは私に難題を押し付けた。 「よろしくね」 「……分かった」  送り主を調べたら、こっちのIDが送り主に知られてしまうリスクを背負うことになるも、ぼっちの私のIDなんて知っても何の価値もないだろうけど。それが原因で嫌な目に遭ったらどうしよう……。
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