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 私は買うものがなかったので、先に外に出た。しばらくして、菅原さんが会計をすませて外に出てくる。 「トライアルセット、明日持ってきます」 「ありがとう。ごめんね、急にデリカシーのないこと訊いちゃって」 「いえ、突然のことで驚いちゃいましたけど」 「こんなこと言うと…変に思われるかもしれないけど、佐藤さんだったから、ちょっと勇気、だしてみました」  その言葉に、また心臓が鳴った気がした。顔が熱くなってくる。これはきっと、夕焼けのせいじゃない。 「それじゃまた明日」  そういって菅原さんは歩いていった。その背中から目が離せない。というよりその場から動けなかった。そこへ、偶然美里が通りかかる。 「あれ?裕香?どうしたの?」 「美里~」  思わず美里に駆け寄る。 「わわ、どうしたどうした」  美里が私の顔を覗き込む。そして私の顔を見て、美里は言った。 「何があったのかは知らないけど、裕香最近、肌キレイになった?」  肌、という単語を聞いて、さっき起きた一連の出来事を思い出し、思わず笑みがこぼれる。本当に、肌が荒れて、〈あれ〉が肌にできていた頃には、思いもしなかったことが起きている。そしてそのきっかけを与えてくれた友人が、今目の前にいる。 「美里、これからごはん行かない?この前のお礼もしたいし、聞いてほしいこともあるの」 「そんな、お礼なんていいのに。でもそのにやけ顔の真相は聞きたいから、喜んでお供するよ。あ、そうだ駅前に新しくできたお店、野菜の食べ放題コースがあるらしくて、そこ行かない?」  肌に自信がなかった私が、こうして少しずつ前向きになれている。今日も帰ったら、お気に入りになったあれで、スキンケアをしよう。そうだ、忘れないうちに明日菅原さんに渡すトライアルセットも用意しておかないと。
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