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年が明けて、本格的に『3年生を送る会(三送会)』の準備が始まった。注文していた楽譜も届き、水明祭以来の曲数となった。
その上、マーチの練習として、「マーチ・スカイブルー・ドリーム」、「コンサートマーチ『アルセナール』」という曲をやり始めた。
「こ、これ全部吹けるようにしろってこと?」
いきなり増えた練習量に、舞莉は目が回りそうである。
「これは……大変だ。セグレートでも練習しなきゃいけないかなぁ……?」
首元から発せられるバリトンの声は、どこか暗い。
「初心者にしてはだいぶキツイぞ……。初心者の量としては俺も未知数だな……。」
いつも「舞莉なら大丈夫だろ!」と言って元気づけてくれるカッションでさえ、この反応。
「本番まではあと2ヶ月あるし、そこまで急がなくてもいいんじゃないかな。」
いつも冷静沈着なバリトン。確かに一理ある。
しかし、これだけでは終わらなかった。
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