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1週間後、舞莉たちは合奏の前に、ある重要なことを決めようとしていた。
「これから、今年のコンクールの曲を決めます。先生が選んできた曲と、事前にやりたいと申し出があった曲の、合わせて5曲あります。」
森本先生が黒板に曲名を書いていく。
○梁塵秘抄(りょうじんひしょう)〜熊野古道の幻想〜
○マードックからの最後の手紙
○スクーティン・オン・ハードロック
○斐伊川に流るるクシナダ姫の涙
○マゼランの未知なる大陸への挑戦
「全部聞いてもらい、多数決で決めてもらいます。」
膝に座る3頭身のカッションがニタニタしている。
「これ全部、吹奏楽の王道の曲だな!」
「森本先生はオーソドックスなものを集めてきた感じだね。個人的にやりたい曲もあるけど……。」
カッションの隣に座る3頭身のバリトンは、あごをかいてから、「まぁ、実際にやるのは舞莉たちだからね。影響しないよう、言わないでおくよ。」
と、人差し指を口に当てる。
「まずは、『熊野古道』から。」
CDを入れると、左右にあるスピーカーから、ティンパニを皮切りにして流れ始める。
その後も曲が終わる度、次々と曲が流れた。
時間の都合で最後まで流さなかった曲もあったが、全部聞き終わった。
『うーん、耳に残ったのは、ハードロックとクシナダかなぁ……。最初の熊野古道もよかったかも。どの曲も低音もムズそうだからなぁ。』
「では顔を伏せてください。」
やべ、決めないと。
舞莉は体を丸めるようにして、顔を伏せた。
うん、あれにしよう。
「この多数決で、まずは2曲まで絞ります。1人1回だけ挙げられます。では、熊野古道がいいと思った人。」
舞莉はスっと手を挙げた。他の人はどれくらい挙げてるんだろう……。
5曲の多数決の結果が出た。
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