君の料理

眠る

　何だか前に会った時よりもずいぶん雰囲気が変わって、髪が伸び大人びた感じがして、寂しさが募った。でも顔の表情や声は相変わらずで、幾分か救われた気持ちになった。

周囲の雰囲気に似合わず、料理の湯気がもくもくと揺れている。

すぐに彼女に飛びつきたくなる衝動を抑えて、自由が利く今のうちに手料理を食べる。

彼女の性格が表れた優しい味付けで、塩辛すぎず、適度にあまさが残っていて少し泣きそうになる。

思いやりに満ちた味をしっかりと噛みしめた。

食べたはずの料理は微動だにせず、元のままにあるが、ちゃんと、しっかりと味はした。

　この状態がどれだけ続くかわからないため、ゆっくり食べてもいられず、そっと彼女の頬に触れて旨かったと一言告げた。

すると、彼女はしばらく閉じていた目をはっと見開いて驚いた表情をした。

しかし、それを見た直後私はもとの暗闇の中に戻ってまた目が開かなくなった。

そこで確信した。

ああそうか、もう会えないのかと。