タイトル未定

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 多分もう気が狂いそうになるくらい長い時間を、ここで過ごしているのだろう、こんなに何にもないのは人生初めてだった。 と言っても、もう私の人生もとっくに終わってしまっている。死因は何だったか、全然思い出すことができず、そこにはもやがかかっているようだ。 これまでは好きなことに夢中になっていて、自分の考えに真っ向からぶつかっていくことなど無かった。忙しさにかまけて特に考えもなしに曖昧に、自分に正直に生きてきたため、この環境は余計に苦痛だ。 難しいことなんて考えたくない、私の本能がそう告げている。では何を考えてこの虚空の時間を割こうか。しばらくの間何について考えようかと悩む。 この悩んでいる時点ですでに私はうまく時間を消費できているのだが、そんなことには気が付かない。一通り考えて、結局決めたのは料理だった。  飯のことは良い。考えているだけで心躍って、生きる活力にもなる。そういう考え方を持っているからか、結局自分でも料理はよくしていた。今日は何を食べようかと献立を思い浮かべる時間が、意外にも私の生きる糧になっていた。 私が作る料理を彼女はよく食べてくれた。お手頃で凝ったものなどほとんど作ることのない男料理だったが、自炊のしたことがなかった彼女には物珍しく感じたんだろう。 たとえ冷やかしでも、自分の料理を美味しそうに喜んで食べてくれる、あの人が本当に好きだった。 ああ、やっぱり好きなことを考えようとしても、どうしても彼女が出てきてしまうなと、一人ため息をつく。自分で自分の首を絞めて何をしたいんだろうか、私は。 いつかまた料理を作ってやれるかなと、そうして、また叶うことのないように思われる夢を見ていた。
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