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雨に濡れたことで体が冷えてしまったのかもしれない。
あたしは暑い日が続いた先週から夏セーラーに衣がえしていたのだけど、今日は冬セーラーに戻した方が良かったと後悔した。
朝なんかは特に、少し肌寒かったし。
「──え?」
突然肩に重みを感じる。
無意識に腕をさすっていたあたしに、栗田が学ランをかけてくれたのだ。
あたしはびっくりして隣を見上げた。
「着てろよ。寒いのそれでちょっとはマシだろうから」
栗田はそっぽを向いたままそう言った。
学ランには栗田の体温がほんのり残っている。
なんだか、いろんな意味で温かい。
「ありがと……」
あたしは栗田の横顔を見つめる。
と、その瞬間、あたしはどうしようもなく気付いてしまったのだ。
恋はとっくに、あたしの中にあったんだ、と。
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