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あたしはずっと、勘違いをしていたのだ。
あたしは大好きだった彼のことを忘れまいとしていたんじゃない。
今でも好きだと、自分に確かめようとしていたのだ。
あたしはあたし自身の「彼を大好きな気持ち」を手放したくなかったのだ。
でも本当は、もうあたしの初恋はとっくに終わってしまっていて。
彼を好きな気持ちに自信が持てなかったのは、だからだったのだ。
あたしは彼が好きだったから新しい恋に踏み出せなかったんじゃない。
新しい恋を見つけないために、彼への恋にしがみついていたのだ。
大好きだった彼はもう、あたしの手の届かないところへ行ってしまった。
でもその現実を、あたしは直視できなかった。
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