過保護

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過保護

俺の名前はヒロ。ゲームキャラだ。イケメンウッカリミス事件から一週間が経った。結論から言うと間違いじゃなかった。あの後、顔面レベルカンストイケメンこと前川は全く動じることなくプロローグを開始し、俺の家の物置で手に入れた鍬でレベル上げを始めた。(普通最初は木の棒とかじゃないの?)逆に慌てたのは鍬でスライムと戦う羽目になった俺とHG(ヒュプノスゲージ)だ。唯野博士以外は俺が選ばれるとは全く思ってなかったうえに選んだのが前川だったのでさらに慌てていた。今回の企画はスペック低めだが俺達に組み込まれているAIの成長を目的に開催されたと聞かされていた。HGの慌てようを見るとそれ以外にも何かあるようだ。HGからキャラ変更を促すメールが届けられたが、前川は既読無視してスライム叩きに戻っていた。その後も電話したがキャラ変更しないといけないならリタイアすると言ったそうだ。メンテナンスの時に開発者たちが話しているのを聞いた。他の開発者たちが落ち込みながら俺を選んだのを不思議がっていたなかで唯野博士だけが笑っていた。本当になんで俺を選んだのか?謎である。 この一週間でここら辺の魔物を駆逐したと言っていいぐらい戦いまくった。戦って怪我したら家(回復ポイント)で寝て起きたら戦ってを繰り返した。ヒットアンドアウェー作戦を一週間繰り返した結果俺はレベル30になっていた。始まりの町周辺の魔物はどんなに倒しても得られる経験値が低いためレベル10ぐらいが限界である。おかしくない?始まりの町でレベル30っておかしくない?ここ一週間のことを思い浮かべると気が遠くなりそう・・・。コイツずっとテレビの前にいるんだけどどういうこと?おはようからおやすみまでずっとゲームの電源ついてるんだけど?学校どうした?あっ夏休み中だったわ・・・宿題しているとこ見たことないけど多分終わってるんだろうな・・・。ゲームキャラの俺が言うのも何だけど不健康過ぎない?もっと外出ようぜ!なんかすごい心配。 それぐらいやってたら嫌でも強くなる。倒した数が100体を超えたあたりで俺は数えるのをやめた。もうスライム叩きたくないよ・・・。開発者たちはどうして道具に回数制限をつけてくれなかったのだろう?鍬以外の武器が持ちたい・・・。鍬ってそも武器なの?なんで飽きないんだよマジで。飽きちゃったよ~他のことしたいよ~。マーエーカーワー次行こうよ~~!
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