第100話 筆読み問題総ざらい

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第100話 筆読み問題総ざらい

 銀河寿司の大将が「(ペン)」を連呼していたことを受けて、 奴の精神的成長を感じると共に、どこかうら寂しい。 接客業界の歴史に残る脅し文句「てやんでえ!」の 畳み掛けを聞きたいのが本音だ。 大将は決して寛容に振る舞ってはいけない。 客を追い出すぐらいの意気込みでなきゃ。 「てやんでえ!」 うーん、すっと言われたら、それはそれであまり嬉しさを感じないなぁ。 もう少し焦らしてほしかった。次は完璧な間を望む。 はっ! 既に大将のペースに持ち込まれてしまっているではないか。 理想的でないタイミングで「てやんでえ!」を言われたことで、 俺はさらに質の良い「てやんでえ!」を欲していた。  「筆筆筆(ペンペンペン)」 それは求めていない。さぁ、「てやんでえ!」を。 「(ふで)(ペン)(ペン)(ふで)(ペン)(ペン)(ふで)(ふで)(ペン)の融合は脳が追い付かない。  「筆筆筆」 これはどちらだ? 「シンキングタイム開始でい! 終了でい!」 考える暇など与えられはしない。 正解は……「筆筆筆(ひつひつひつ)」。 (ひつ)の乱入は想定していなかった。 3パターン目を意識して次の問題へ。  「筆筆筆筆筆筆筆」 急激に難易度が跳ね上がった。これはどれだ? 「シンキングタイム終了でい!」 気付かないうちに始まり、終わっていた。 正解は……「(ふで)(ペン)(ペン)(ふで)(ペン)(ペン)(ふで)」。 前回と同じ。不要な(ひつ)の存在を明らかにした所為で惑わされたぞ。 最後の問題は読者と力を合わせて正解しよう。  「筆」 一文字だけか。これなら三分の一の確率で当たる。 そろそろ「(ひつ)」が出てくる気がするから、俺に合わせてくれ。 読者の意見には耳を貸さない。これも一つの協力の形だ。 正解は……「(文字を書く道具)」。 説明は予想外。
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