第17話 市川さん vs 裁判長(中編)

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第17話 市川さん vs 裁判長(中編)

 続いて三番勝負の2本目『段ボール大食い選手権』。 作者の意地悪。意図的に市川さんを勝たせようとしてやがる。 だって、市川さんのソムリエ力は伊達じゃない。親父ギャグは置いておいて、 奴の成績は段ボールソムリエ全国大会東北予選2回戦敗退、 天皇杯欠場、ワールドカップB席観客。 あれ、あまり凄くない? まぁ、いいや。 とにかく市川さんの方が経験豊かなのは事実。裁判長はどう攻略するのか。 2人は定位置につく。制限時間は30分、よーいドン!  先に動き出したのは裁判長。段ボールを無我夢中で擦り続けている。 なるほど。摩擦熱で燃やして灰にしようという算段か。賢い。 だが、疲れが見え始めた頃にはもう、六法全書で段ボールを完膚なきまでに 叩きのめしていた。段ボールバイオレンス。良い子はほどほどに真似してね。 横の市川さんに目をやると、口いっぱいにこれでもかと詰め込んでいる。 顔が真っ赤。真っ赤と言えばスイカ。夏だ。海だ。こりゃ駄目だ。 しばらく様子を観察していると、市川さんが時たま不審な行動を。 段ボールを口に入れる前に顔面を経由しているのだ。 もしや顔の赤はケチャップ! 賢い。 だが、味に飽き始めた頃にはもう、横隔膜アイドルの しゃっくり100連発ライブを楽しんでいた、裁判長と一緒に。 今回は仲良く楽しく引き分け。ひっくひっく。 もらいしゃっくり失礼しました。
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