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第19話 因縁再び
一部始終をモニターで見ていた吉村さんから不敵な笑みが零れている。
そして、緩み切った口元から唾液もしっかりと零れている。
色んな意味でこの展開がおいしいのだろう。
市川さんと裁判長との合体人間のことは、”イチバン”とでも呼ぶことにする。
吉村さんは数千人の手下にイチバンを始末するよう命じた。
対するイチバンも公共交通機関を乗り継ぎ、吉村城へ向かった。
しかし、イチバン、バスで寝過ごし、停留所『吉村城前』で降り損なう。
バスはそのまま終点へ。車掌に揺り起こされるイチバン。情けない。
百科事典によると、寝起きのイチバンは気性が荒いらしい。
全ての降車ボタンを2回ずつ押すと、
気が済んだのか財布からバス代を探し始める。
二千円札を取り出すと、珍しいだろうと言わんばかりの態度で
車掌に見せびらかし、満足げに電子マネーで運賃を支払っていった。
ところが、バスを降りたイチバンが見た光景はそれ以上に異様なものであった。
吉村さんの手下が一人残らず倒れているのだ。
そのうちの一人に何があったのか尋ねると、
「ヤ、ヤスダ仮面の仕業だ……」とだけ言い残し颯爽と皆で帰っていった。
ヤスダ仮面は……あのインド象の飼い主ではないか!
―――イチバン vs 吉村さん vs ヤスダ仮面―――
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