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第6話 祖父母と団らん
不意に上空から昆布が降ってきて歓喜に沸く人が、果たしてこの世にいるのか。
少なくとも俺は嬉しい。昆布アレルギーではあるが―――――。
虚しい。悲しくはないが虚しい。喜びのあまり虚しい。
昨晩から汗をかいて仕方がない。慌てているのだろうか。
うん。納得。素直さだけが俺の取り柄だ。
そんなこんなで質の良いひじきを庭に埋めていた俺は、
祖父に話しかけられた。何を言っているのかはっきりしない。
もどかしいので、祖父の口をガムテープでふさぐ。正当防衛である。
一部始終を見ていた祖母が祖父の両目に黒コショウをかけた。
頼もしい援軍だ。俺は祖母とがっちりと固い握手を交わし、健闘を称えた。
その後、祖母が何か言ったようだがはっきりしない。無視。
散歩に出かける。
路上にイカが落ちていたので、水族館まで持っていき、
入場受付の窓口にスクワットをしながら差し出した。
困惑している。お詫びに下水に浸したアワビを丁重に包んで渡しておく。
帰り道、再びイカが落ちていた。拾う。握り潰す。
イカジュース完成。飲む。イカになる。
誰かが拾って水族館へ。無限イカ地獄。
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