第72話 動物通訳はつらいよ

1/1
前へ
/300ページ
次へ

第72話 動物通訳はつらいよ

 ブフォーン! ゲーム開始前に爆発が起こった。笑い事ではない。  ”勾玉爆弾ゲーム”のルールは簡単、まず勾玉が一人に一個ずつ配られる。 そして、その中の一個にだけ、 外見からは判断できない時限爆弾が内蔵されている。 ゲーム終了後は、勾玉一個につき600万ドルと交換されるが、 爆発を受けたプレイヤーは賞金が獲得不可能となってしまう。 いかに無害な勾玉を集め、勾玉爆弾を他人に押し付けられるか、という 命を懸けた遊戯を是非とも楽しもうではないか。 ちなみに、爆発までの制限時間が5分なのか、5年なのか、はたまた5kmなのか、 一体どれくらいの長さであるかは、誰にも分からない。 俺は大穴の5Lだと予想する。  蒼龍が緊迫した空気を緩ませるように話しかけてきた。 「勝負前に牛乳4枚飲みますか?」 3オクターブで結構です。下手すると、2坪でも多いぐらいだ。 いい加減、常識を身につけてくれ。 どう考えても4枚は供給過多であろう。 「パオーン」 同意してくれるか、インド象。やはりそう思うだろ? 「パオーン」 思わない、と。ふざけるなよ。 「パオーン」 どうか命だけは……お助け! 「パオーン」 へぇ、ゲノム編集はもうその領域にまで進歩したのか。 「パオーン」 いかがわしいな。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

612人が本棚に入れています
本棚に追加