第75話 勾玉で動かす市場経済

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第75話 勾玉で動かす市場経済

 音の鳴る勾玉を早く誰かに渡し、 なおかつ安全な勾玉を搔き集めなければ、借金を返済できない。 とりあえず前者は、インド象の鼻に詰めることで解決した。 問題は後者だ。 「勾玉一個1000万ドルで買い取るから、持ってこい警察!」 ドブネズミ洋平は確実にビジネスセンスがない。 そんな奴にはこれ、マルチ商法入会申込用紙。 俺の恩師である佐原先生が監修しているため、 不安・危険・挫折の三拍子が申し分なく揃っている。 勾玉を売りに来た警察官に事情聴取されることは疑いの余地がない。  「私は勾玉1個1010万ドルで買い取る! さぁ、乗り換えるがよい!」 蒼龍が価格競争に乗り出した。 600万ドルという基準は、今やもう完全に忘れ去られたらしい。 独占市場より経済は回るが、彼らの財布状況が心配でならない。 「私は1050万ドルで買い取りますけど、何か?」 火付け役 花野美代子の登場。哀れな挑発だ。 向こうの三人はそこで一体何を争っているのか。  「俺が勾玉全部合わせて2ドルで買い取ろう」 聞き間違えかな? 吉村さん、その提案は流石に皆にも受け入れられないよ。 「じゃあ、1億ドルで……」 大きく出たな。でも、それならば、快く売却に向かって動こう。 「このカジノを買う」 一大決心。
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