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野上陽菜 ③
「美咲さん、美味しいイタリアンのお店があるの。仕事が終わったら一緒に行かない?」
仕事終わり、ロッカールームに誰も居ないことを陽菜は確認し、美咲に声をかけた。
今度こそ、美咲さんとお食事に‼︎
「ええ、行きましょう!!私、ちょうどイタリアン食べたかったんです」
美咲が笑えば、ぱぁーっと周りが明るくなる。
「本当に!?嬉しい」
陽菜は嬉しさのあまり、その場で飛び跳ねてしまい、その姿を美咲に見られた恥ずかしさから頬を真っ赤にした。
「陽菜さんって、もっとしっかりした方かと思っていたのですが、可愛い方なんですね」
美咲が口元を押さえクスクス笑うが、全く嫌な気がしない。
むしろそんな表情を今、独り占めできた優越感さえあった。
「あの…。陽菜さんに一つお願いがあるんです」
美咲は少し申し訳なさそうに菜花を見上げる。
「はい!なんでも」
美咲さんが私にだけの頼み事って…。
「私も陽菜さんみたいに、砕けた話し方をしても良いですか?その方が、友達っぽくて素敵だなと思ったので…」
美咲は一度視線を落とし、その後ゆっくりと陽菜の方を上目遣いで見上げた。
なんて、美しいんだろう…。
陽菜は美咲の美しさに見惚てしまう。
「是非!私もそうして貰えると本当に嬉しい!」
「ありがとう、陽菜さん」
とても嬉しそうな美咲さんを見ていると、穏やかな気持ちになっていく。
この人は本当に天使みたい…。
「あ、陽菜さん。お友達になってくれたお礼をさせてくれない?」
美咲が陽菜の側にぐっと近づいてきた。
「そんな…」
美咲との距離が縮まり、陽菜の鼓動は速くなる。
「是非させて欲しいの。お願い。陽菜さんと私の秘密として…」
美咲さんと二人だけの秘密!?
そんな事ってあるの!?
「!それじゃあ、お願いしよっかな」
いたって冷静に答えたが、陽菜の心は飛び跳ねていた。
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