野上陽菜 ⑤

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野上陽菜 ⑤

「陽菜?」  イタリアンの店に向かう途中、二人は男性から声を掛けられた。 「学?どうしてここに?」 「どうしてって…後輩とメシ行く予定だったのにドタキャンされた。ところで、そちらの方は?」 「あ、こちら友達の春日井美咲さん。今からあのイタリアンの店に行くの。そして、こっちが学。私の彼氏」 「はじめまして。春日井美咲です」 「鈴木学です」  ペコリと美咲がお辞儀をすると、学は今まで見たことないほど照れながら挨拶をした。 できれば、学に美咲さんを紹介したくなかったな…。 だって美咲さんは…。 「ねぇ陽菜さん。せっかくだから学さんも一緒にどうかしら?」 「え…!?」 「え!?」 陽菜と学が同時に同じ言葉を発したが、二人には温度差があった。 「私、陽菜さんの事もっと知りたいの」  美咲が微笑むと、陽菜はなんでも許してしまいそうになる。 「せっかくだし…な、陽菜…」 「学まで…。もー、今日は三人で行きましょうか」 「よかった」 「やった!」  学、陽菜、美咲と並び、三人仲良く店に向かった。
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