end roll。錦帯のような極光に太陽は語る

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end roll。錦帯のような極光に太陽は語る

   孕んだ鯨は。木枯らしのように臆病で。希少に価値は見出せない。自らは幻なんだと自覚して。卑下して。産み落としたらそれは。不幸の微動を未来に伝えてしまったんだと。孤独を産み落としてしまったんだと。親子共々、檻に入れてしまって。それ自体が元凶だと気づかず。愛すべきものを罪人にしてしまった。地球を駆け巡る水の如く。愛情の如く。時代を巡り巡って。罪悪感で未来を紡いでしまった。そうして生まれた二つの孤独は引き合って、愛して、また一つの生命を産み落とした。その子は太陽のように輝いて。時代の錯誤を一瞥し、そして正した。幼い瞳の奥に強い光を放って。孤独に駆られて嘆いた祖先が報われますように。願いを込めて強く生きていく。   曇天に消えた僕は。幻想のように臆病で。自分に価値は見出せない。自らは剥き出しの本能なんだと自覚して。卑下して。誰かと引きあえばそれは。不幸の微動を彼女に伝えてしまったんだと。孤独を複製してしまったんだと。恋人もろとも、海に溶かしてしまって。自分自身が元凶だと気づかず。愛すべきものを罪人にしてしまった。地球を駆け巡る水の如く。罪悪感の如く。愛情は。人々を巡り巡って。僕の手には渡らなかった。そうして枯渇した一つの心は引っ張られて、傷んで、またもう一つ痛みが生まれた。その心は海底から見た水面のように輝いて。時代の錯誤に負けるまいと、葛藤した。幼稚な心の奥に微かな希望を持って。孤独に駆られていた僕たちが報われますように。願いを込めて強く生きていく。
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